シナリオ・丸谷 秀人氏、原画・Tony氏という実力派による渾身の作品。
[公式HP]で攻略ヒント機能アップデートパッチが公開されています。
大正壱拾弐年(西暦壱千九百弐拾参年)五月六日(日曜日)
仏蘭西(フランス)帰りの友人が遺したものは
地下室に眠る純白の少女“ユヌ・フィーユ・ブランシュ”だった……
欧州大戦が終わり、狂ったような好景気後、必然として襲いかかって来た不況に世相は騒然とし、今にも革命が起きようか、という時代。
主人公・矢旗澤政重子爵は、何の不自由もなく、また何の刺激のない境遇で無為に日々を過ごしていた。
そんな折、ここしばらく屋敷に籠もっていた友人、織田桐治道伯爵が不意に屋敷へ来るようにと招待状を送ってくる。
同じく屋敷に招かれた義妹・矢旗澤香純と旧来の友人・眞山皐之介とともに織田桐邸へ向かったが、そこで彼らが目の当たりにしたのは、治道の突然死だった。
後日、政重は織田桐邸の怪しげな執事・キャリバンから、治道が政重に宛てたという遺産を受け取ることになる。
それは、織田桐邸の地下室に安置されている不思議な美少女だった。
政重が眠る少女の耳元で言葉を囁くと、少女は蒼い瞳を開き「ごしゅじんさま……」と言い、あたかも花が綻ぶように笑った。
そして、執事は、御主人様は少女に何をしてもいいのだ、と告げた。
選択肢も多く、難易度が高い為、急遽ヒント機能が追加されました。
ヒント無しでは全ENDに到達するのに優に100時間は超えます。
2、3週は自分でプレイし、後はせっかくなのでアップデートしてヒント機能を有効活用しましょう。
文章や雰囲気が与える印象は非常に文学的で、抽象的な表現や回りくどい描写が多いです。
大正という時代を表現する為、外来語を漢字を当てていたりしていて、多少読み辛さはありますがそれが上手く時代を感じさせてくれました。
内容は負の面が強く描かれたものになっています。
"純白少女"に溺れ、主人公は破滅へ向かいます。
主人公だけでなく、ヒロイン達も闇を抱えていて、エンディングの大半はバッドエンドと呼べる内容になっています。
特に香純の扱いは酷く、主人公から少女を引き離そうとする敵である為、大半の展開で酷い扱いを受けていました。
香純の健気に主人公の心配をする姿が非常に心に響き、それが鬱展開をより鬱な方向に。
その様な展開が前提の為、主人公は"純白少女"の魅力に逆らえない人間で、欲望の無い聖人君子でもなく、一発逆転出来るスーパーヒーローでもなく、欲望に負けて破滅したダメ人間、ある意味現実的な人間でした。
確かに、これだけ人間の闇が絡み合えば、そう簡単に幸せな結末に辿り着けないのも分かる気がします。
Tony氏の軽過ぎない絵は雰囲気にも合っていて、非常に良かったです。
えちぃシーンは回想数は非常に多いですが、CGの使いまわしが多くその点はちょっと残念ですが、そもそもCG数が非常に多いので問題は無いです。
ダリダリのお気に入りは、香純です。
とにかく可哀相な扱いでしたが、その分、ハッピーエンドでは感慨深いものがありました。
他のルートの為に酷い選択肢を選ばなければいけない時は、本当に心が痛かったです(泣)
萌えゲーや抜きゲーを期待すると痛い目を見ます。
抽象的な表現の意味を考えたり、作者の意図を考えたりとじっくり味わう人向け。
自分は文学に詳しいわけではないですが、この作品は文学的観点からいくと恐らくひたすらに自分の思想を表現した類なんだと思います。
なので、プレイヤーを楽しませることは
個人的には非常に楽しめましたが、万人向けではないのは確かなので、気軽にお薦めしにくい難しい作品。
テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム